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(´・ω・`) ホムンクルスは生きるようです 第2話 

29 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 07:41:46 ID:HknsixXc0



2 ホムンクルスは稼ぐようです

30 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 07:48:58 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) 「金がない……」

当たり前か。
道にぶっ倒れて気を失っていたけれども、目が覚めた時にお金が残っているほどイイ時代じゃない。

(´・ω・`) (どこかで稼ぐ必要があるな)

お金を稼ぐのは簡単だ。
僕にはおおよそ人の及びもつかない錬金術の知識がある。

できれば使いたくはないのだが、資金調達のためならば仕方ない。
ホムンクルスであってもエネルギーを必要とするんだから。

(´・ω・`) 「一番近い……町は……いい所があるじゃないか」

ローマの土を踏むのはこれが二度目になるな。

(´・ω・`) (あれから少しは変わっているのだろうか……)

あの場所の賑やかな喧騒は忘れられない。
後頭部が痛むけれども、関係ないか。

(´・ω・`) 「彼は元気にしているだろうか、いやしているのだろうな」


31 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 07:55:36 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) 「大体予想どおりかな」

三日三晩歩いてやっと城壁が見えてきた。
世界の中心とは名の通りに、ここいらの道はしっかりと舗装されていて歩きやすい。

後ろから来る馬車にさえ気をつけていればいいのだから。

(´・ω・`) 「まずは……いつもの場所かな」

僕が稼ぐのにローマによる理由はいくつもあるけれども、一番大きいのは友の存在だ。
僕が生み出してしまった罪の存在であるにもかかわらず、彼はとてもよくしてくれる。

「感謝してもし足りないくらいだ! あんたがいなけりゃ俺は生まれてなかった!」

彼はいつもそう言ってくれた。
久しぶりに見る友を思い浮かべると、嬉しくなってくる。

(´・ω・`) 「こんにちわ」

ローマに入るのに許可はいらない。
そんなことをしていたら、大量の物資が腐ってしまうこともあるからだ。

ここは365日いつでも騒がしい。


32 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 08:02:02 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) 「ふむ」

軽いノックを三回して扉を開けた。
中は昔訪ねた時と変わらない。

僕ですら用途の知らない実験器具が所狭しと並べられている。
それは所々怪しい煙を噴きだしていた。

毒々しい煙を払って奥に進むと、目当ての人物がソファーに寝ていた。

(´・ω・`) 「起きろよ、久しぶりに来たんだ」

声で僕だと気づいてくれたみたいだ。
大仰に立ち上がり、肩を抱き寄せてくる。

この厚かましさが、僕には心地いい。

( ^ω^) 「久しぶりだお! 元気にしてたかお?
       かれこれ35年ぶりかおね」

(´・ω・`) 「36年ぶりだね、ここに来るのは」

彼こそが僕の友人、兼兄弟。
奇跡の種から生まれた人にあらざるもの。


33 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 08:11:12 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) 「調子はどうだい?」

( ^ω^) 「いやね、最近思いついたんだお。仮面をつけて人前に出れば、年は見られなくなるお。
       だから、ずっとこの一か所で商売を続けることができるお」

彼、ブーンはホムンクルスだ。
僕が所在を明確に知っているただ一人の。

(´・ω・`) 「なるほど、それでもばれるんじゃないかい?」

( ^ω^) 「荒稼ぎをしてなきゃ目をつけられることもないお。
       ちゃんと、コレもしてるしね」

右手の親指と中指をくっつけて円を作る。
賄賂をあらわす彼の独自の動作だ。

( ^ω^) 「久しぶりに寄ってくれたんだお。まぁ、ゆっくりしてけお」

(´・ω・`) 「そうさせてもらうよ」

ブーンが入れてくれたコーヒーを啜りながら、僕はこの40年に届くほどの旅の話をした。
珍しく獣に襲われた話、海を見に行った話、人間と仲良くなった話。

そのどれもを楽しそうに聞いてくれるブーンは聞き上手なのだろうな。


34 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 08:18:48 ID:HknsixXc0

( ^ω^) 「またいろんなところに行ったみたいだおね」

(´・ω・`) 「うん、色んなことが分かった。生きている意味も見つかるかもしれない」

僕が旅をする理由は自分の存在理由を知るためだ。
暗い研究室の中で、土塊から生み出された不死の僕の存在は、一体何なのだろうか。

( ^ω^) 「また顔が暗くなってるお? つまらないことを考えるなおー」

(´・ω・`) 「ああ……すまない。ところで、今は何をしているんだい?
       どうやら寝ていたみたいだけど」

僕らホムンクルスは睡眠を必要としない。
勿論、寝ることはできるけれども。

( ^ω^) 「ああ、面白いものを作ったんだお……ショボンもどうだお?」

ニヤニヤと降格を釣り上げるブーン。
そこで初めて、僕はコーヒーに細工をされたことを知った。

(´・ω+`) 「くそっ……覚えてろよ豚野郎!」

睡魔が襲ってくると言うのはこういうことなのかと僕は理解した。
意識は無理やり切られた。


35 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 08:27:10 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) 「ここは……」

真っ暗な場所に立っていた。
一切の光がなく、一寸先すら見えない。

(´・ω・`) 「夢……か……?」

不思議とここに来る前のことは明確に覚えている。
ブーンに怪しい薬を飲まされ、意識が途切れたのだ。

もしこれが眠っているということならば、ここは夢の世界と言うことになるだろう。
僕達ホムンクルスは夢見る存在ではないのに。

耳に響く不快な音は雨の音だろうか。
人間は情報の大部分を視力から得ていると言うが、
それは体の構造が基本的に同じホムンクルスにも当てはまる。

(´・ω・`) 「っ!」

爆音とともに一条の閃光が空を駆け抜けた。
たった一瞬の光が部屋の中を明るくさらけ出す。

(´・ω・`) 「はぁ……、まさかこの光景をまた見るとは……」


36 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 08:32:29 ID:HknsixXc0

木張りの床は血液で真っ黒に染められ、ばらばらになった人間が散在している。
その中には子どもの骸もあった。

人形を両手に抱いたまま、頭部を失って絶命している。

(´・ω・`) 「帰ったら何回か殺してやらなきゃな」

どうせ殺しても死なないのだ。
傷もすぐに完治するのなら、少々は教育だろう。

決して、この死体のようになることはないのだから。

(´・ω・`) (僕は、予想以上に冷静だな……)

二度と見たくない、考えたくないと思っていた情景が目の前にあって、
未だ絶望という感情を抱いていない僕はなんなのだろうか。

ブーンが僕に飲ませたのは何なのだろうか。

(´・ω・`) 「普通に考えたら睡眠薬だろうけど、それじゃ説明がつかない」

夢の中で夢だと断言できる状態にあること。
これを明晰夢だと言うらしいけれど、これはその状態にぴったりだ。

(´・ω・`) 「明晰夢を見させる薬……ってところか」


37 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 08:41:13 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) 「薬の効果はどれくらいできれるのだろうか」

どれだけ僕は、ここにいなければならないのだろうか。
この光景を、もうすでに目に焼き付けているこの光景を、どれだけ眺めさせられるのだろうか。

(´・ω・`) 「いや、僕の夢なら、僕自身の力で終らせることができるはずだ。
       願わくば、一番幸せだったあのころの夢を……」

目を閉じ、願う。
その場に立っている自分を想像し、その匂いを、音を、空気を、思い出す。

(´・ω・`) (……っ!)

頬に感じた衝撃で僕は……目を覚ました。
目の前に豚が一匹、僕を覗きこんでいる。

そのニヤケ面の余りの気持ち悪さに、思わず右手を振り抜いていた。

(メ ゚ω゚) 「へぶっ!」

錐揉み上に吹っ飛んでいくブーンだが、それだけでは許せない。
夢の世界で誓った行為を実現に移すため、足元の重量のある金属棒を拾い上げた。


38 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 08:46:32 ID:HknsixXc0

(メ ゚ω゚) 「まままままm、まてお! それは死ぬ! 間違いなく死ぬお!」

両手をあげて降参の意を示していたが、そんなものは関係ない。
僕は珍しく、怒っていたのだろうな。
知りうる限りで最も残虐な表情を張りつけ

(´゚ ω ゚`) 「死ね」

右手で持ちあげた棒を全力で振り下ろした。

(メ ゚ωメ) 「はぶんっ」

一撃目で脳が露出した。
成程、いい威力だ。

二撃目は肋骨を折るべく、胴体に叩きこんだ。

(メ ゚ωメ..,, 「っぶぇぇ」

三撃目はもう一度頭に。
殴って殴って、殴り続けた。


,....,;:。ω;∵。.,,

40 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 08:54:59 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) 「ふぅ……」

何とか落ち着きを取り戻した時、部屋は惨殺現場も吃驚なほど汚れていた。
飛び散った血液も、脳漿も、骨片も、全て粒子となり、ブーンを再構成する。

さながら時を巻き戻すかのように。

(; ^ω^) 「死ぬかと思ったお……」

(´・ω・`) 「何であんなものを飲ませた?」

(; ^ω^) 「いや、明晰夢を見れる薬を作ったのだけれど、自分だけが被験者だと心許なかったので」

謝る気はないようだった。

(´・ω・`) 「何の夢を見たんだ……?」

自分だけがあんな夢を見るのだろうか……。
同じホムンクルスのブーンはどんな夢を見たのか非常に気になった。

(//^ω^) 「内緒だおっ」

声に楽しげな響きが混ざっていたから、僕ほど悪い夢ではなかったのだろう。
腹が立ったので、右手の金属棒を再び持ち上げようとする。

それを察知してか、ブーンは夢の内容を話しだした。


41 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:02:52 ID:HknsixXc0

(; ^ω^) 「その……女の娘と……ゴニョゴニョ……」

こいつはなんて俗物なのだろう。
僕と同じホムンクルスであるのに、その人生に迷いがない。

酒を飲み、飯はたらふく食べ、人と同じように生きている。
女を抱き、庶民と賭け事をする。

そんなブーンが、僕は羨ましいのだろう。
だから、つい金属棒を投げてしまった。

(  ゚ω^) 「何か言うことは?」

頭の左側を吹っ飛ばしてやるつもりだったのだが、どうやら加減を間違えたようだ。
僅かな傷跡をつけるだけであった。

(´・ω・`) 「ごめん、つい」

( ^ω^) 「ショボンは難しく考え過ぎなんだお。
       人間が楽しめる行為は僕達も楽しめるんだお。生憎、まだ子供はできていないけど。
       できるかどうかも、分からないけど」

いつか子育てをするのが僕の夢だお、とブーン嬉しそうに語った。


42 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:09:58 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) (いつか、僕も彼のように笑って暮らせるのだろうか……)

不安は、顔に出さないように押しとどめた。

(´・ω・`) 「で、話を変えるけど、今回寄ったのは資金調達だよ。たんまり稼いでるんだろう?
       少しくらい分けてくれてもいいんじゃないか?」

このままだとブーンの話を長々と聞く羽目になるだろうと思って、本題を提示した。

( ^ω^) 「んー構わないけど、条件があるお」

彼の居場所によったことは何度もあるけど、
常に無償で資金提供を続けてくれていたから、今回もそうだと思っていたんだけどな。

(´・ω・`) 「何?」

彼は僕よりもずっと優秀なホムンクルスだ。
長年の研究で僕よりもはるか高みにいる。
旅ばかりしている僕に役立てるようなことなどないと思ってた。

( ^ω^) 「この薬、売るの手伝ってくれお」

彼の提示した条件は、酷く簡単なものに思えた。


43 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:14:47 ID:HknsixXc0

明晰夢を見る薬。
それを売ることなどブーン一人いれば十分ではないのか。
効力も、充分以上に体感した。

(´・ω・`) 「ああ……」

そこで気付いた。
この薬は飲まないと効力を発揮しない。
でも、飲んだものが必ずしも本当のことを言うとは思えない。

何もなかった、嘘つきが。

そう言われてしまえば、今後の商売にもかかわるわけだ。

(´・ω・`) 「で、何をすればいいの?」

( ^ω^) 「有り体に言えば、実演してほしいんだお」

そういうことか。
僕がブーンの薬を最初に買い、皆の前で飲む。
そうすれば、この薬の効力を信じるに違いない。

そして、この薬は正真正銘、明晰夢を見せる力がある。

( ^ω^) 「いつもの市場に行くお。この仮面をつけてくれお」

ブーンが投げてよこしたのは木彫りの面。
それを顔につけ、僕らは出発した。


44 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:24:47 ID:HknsixXc0

( ^ω^)) 「ここだお」

ブーン声は仮面越しのせいでくぐもって聞こえる。
案内されたのは市場の中心。
小さな机と椅子がならべてあるだけの場所だった。

(´・ω・`)) 「こんなぼろいところが……?」

周りの商店は煌びやかな装飾が施されている。
これじゃあまるで貧乏店にしか見えない。

( ^ω^)) 「失礼だおね。錬金術師の店はここいらにたくさん並んでいるけれども、
        本物はブーンのところだけだお」

(´・ω・`)) 「ふぅん……」

確かに周りに見えるところで売っている商品はつまらないものばかりだ。
肌が潤うだとか、お金が増えるだとか、そんなつまらないものばかり。

( ^ω^)) 「じゃあ始めるお。 寄ってくるおー! 稀代の錬金術師!
        ブーンの夢見薬! 安いし買っていくおー」

ひとたびブーンが口を開けば、辺りには人だかりができた。
どうやらここらでも人気の錬金術師のようだ。
本物なのだから、当然だけれども。


45 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:28:53 ID:HknsixXc0

( ^ω^)) 「この薬、なんと飲めば見たい夢が見れるようになるんだお!」

ブーンが箱から取り出したのは小さな瓶に詰められた琥珀色の液体。
同じものが、30ほど並んでいる。

( ^ω^)) 「じゃあ早速飲んでもらうお」

僕はその手から瓶を受け取り、一口だけ飲んだ。
全開と同じように、強烈な眠気がやってくる。

(´・ω+`)) 「よろし……く」

ブーンに体を預けるようにして座り込んだ。
意識は深海に溶けていく。


46 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:34:45 ID:HknsixXc0

目が覚めたのはどの位経ってからだろうか。
客の様子を見ると、先程から変化していないからそう時間は立っていないのだろう。

( ^ω^)) 「何の夢を見たかお?」

ぼやけていた夢を思い出そうとする。

(´・ω・`)) 「空を……飛んでいた。次に、海を潜って魚と遊んでいたところで目が覚めた」

( ^ω^)) 「ということだお! みんな、買ってくれお!」

あちこちから声がかけられる。
瞬く間に完売してしまいそうな勢いだった。

「おうおうおう! 効果があるわけねーだろ!」

「夢の中のことなんて、いくらでも嘘つけるんじゃねーか!」

野次を飛ばしていたのは近隣の似非錬金術師の集団。
こちらに客を取られた腹いせをしてくる。

「みなさーん、そこの錬金術師は嘘をついているー。二人グルになっているからなー」

( ^ω^)) 「そ、そんなことないお! ちゃんと効力があるお!」

必死に抵抗するブーンだけど、人数が違いすぎる。


47 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:40:01 ID:HknsixXc0

(´・ω・`)) 「ブーン、立場が悪いよ。明日にしよう。
       今日使ってくれた人が明日は味方になってくれるはずだ」

( ^ω^)) 「しょ、ショボンの言うとおりだお……。今日の販売はこれで終わりだお!
        明日も来るから、また買いに来てほしいお!」

購入できなかった人から罵声が飛んでくるけど、こればかりは仕方ない……。
効果を分かってくれる人がいれば、明日からも売れるはずだ。

家まで逃げるように帰ってきて、僕たちは椅子に倒れ込んだ。

( ^ω^)) 「予想してた通りだけど、いつもよりひどいお……」

うっとおしい面を投げ捨てる。

(´・ω・`) 「いつもあんな感じなのかい?」

( ^ω^) 「大体そうだお。あいつら、ブーンの販売の邪魔ばっかりするんだお……。
       自分達は碌なものも作れないのに」

(´・ω・`) 「ちなみに君、今まで何作ったの?」


48 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:47:45 ID:HknsixXc0

( ^ω^) 「夢見薬だお。 後は胡椒の味がする魔法の粉、水が綺麗になる濾し機。他にもいろいろ作ったお?」

思わずため息が出てしまった。
ブーンのことだから、全て事実なのだろうけど、あまりにも胡散臭すぎる。

(´・ω・`) 「もっと現実に即したものを作りなよ……」

( ^ω^) 「錬金術はロマンだお。普通にできないことをするから面白いんだお!」

同じ錬金術師としてその言い分もわかる。
だが、現実的な道具に絞れば、あいつらも邪魔できないのにとは思う。

(´・ω・`) 「まぁいいや。さっさとお金ちょうだいよ」

( ^ω^) 「まだまだいっぱい残ってるおー」

ブーンが指差す先には、今日薬を運んだ箱が10以上積まれていた。
それを全部売りさばくとなれば、明日だけでは済まないだろう。

(´・ω・`) 「全部?」

( ^ω^) 「8割売れたら解放してやるお」

8割なら我慢しようか。
その日は夜まで販売戦略を相談し、僕らは寝ることにした。

内藤は薬を使っていたようだが、僕はやめておいた。


49 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 09:54:06 ID:HknsixXc0

僕の予想は大いに外れた。
内藤と売り場に向かうと、そこには甲冑に身を包んだ数人の男が待っていた。

( ^ω^)) 「僕の売り場に何の用だお?」

「貴様か、この売り場の錬金術師は!」

「販売していた薬をすべて回収させてもらう!
強制的に人を眠りに落とす薬は危険すぎると判断された!」

(; ^ω^)) 「そんなっ! むちゃくちゃだおっ!」

(´・ω・`)) 「流石に酷すぎませんか?」

金属音と同時に僕らに槍が向けられた。
丁寧に磨かれたそれは人間ならばただの一刺しで殺しうるだろう。

「逆らうなよっ! 逆らえばこの場で処刑することも出来るのだ!」

騎士と言うのはどの場所でも傲慢なのだな。
大人しく従うか、と荷を下ろしたショボンだが、ブーンは驚くべき行動を取っていた。

(; ^ω^)) 「こ、これは研究の成果だお! 僕にはこれを売る権利があるお!」

箱を腹の下に抱え、うずくまって守るブーン。
上から騎士の蹴りが何度も振り下ろされる。


50 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 10:03:44 ID:HknsixXc0

「さっさと、それを離せ!」

(; ^ω^)) 「嫌だおっ!」

周りで見ている連中は笑っているばかりで助けようともしない。
おそらく似非錬金術師が雇った人ごみで、中の様子が見えないようにされているのだろう。

「こいつっ……!」

騎士はその穂先を振りあげた。

(´・ω・`)) (まずいっ!)

ブーンがホムンクルスだとばれてしまえば、この先の商売は難しくなる。
最悪、捉えられて切り刻まれるのは分かっていた。

(; ^ω^)) 「ショボン!」

その声で斬られたのだと知った。
吹き出した血は赤く大地を濡らすが、それは一時的なもの。

僕の傷が回復していくことに、混乱の声が大きくなっていくのが分かる。

「化物めっ……!」


51 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 10:06:37 ID:HknsixXc0

(´・ω・`) 「僕は……ホムンクルスだ。殺しても死なない。
       あんたの支配は受けないよ。僕は僕の生みの親である───様に従う!」

黙って見ていろ、とブーンにはアイコンタクトで伝える。

(; ^ω^)) 「…………」

(´・ω・`) 「行きずりの所を変な錬金術師に拾われたが、助かったよ。
       もう十分利用させてもらったからね。これは、せいぜいの恩返しさ」

ホムンクルスを作ることは禁止されている。
ブーンの安全と地位を守るには、こうするしか方法がなかったのだ。

「貴様っ! 誰に生み出されたっ!」

ほら、簡単に引っかかった。
騎士と言うのは頭の弱い奴が多い。
僕の……嫌いなタイプだ。


(´・ω・`) 「───様と言ったのさ。こんなゴミみたいな錬金術師にホムンクルスが作れるわけがないだろう」

「さぁ! 我等と一緒に王城まで来てもらおうか!」

またしばらく会えないかもな、ブーン。
元気で。

(´・ω・`) 「それは……断る!」


52 :名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 10:15:08 ID:HknsixXc0

槍の間をくぐり抜け、全速力でローマ市街を駆け抜ける。
重装備をしている騎士なんかに後れを取るはずがない。

もともと長旅で鍛え抜かれている身体だ。

門をくぐり抜け、暫く走り続けた。

(;´・ω・`) 「はぁっ……はぁっ……」ここまでくればすぐには追いかけてこないか……
       身体が予想以上に重いな……」

お金は手に入らなかったけれど、まぁ問題ない。
ブーンの立場が守れたかどうかだけが気になる。

(;´・ω・`) 「また、時が経ってから見に来るかな……」

旅先は決めていないが、今までもずっとそうだった。
これからもきっとこうだろう。

それにしてもなぜこんなに体が重いのだろうか。
その原因は服にあった。

(;´・ω・`) 「馬鹿なのか賢いのか……」

大量の金貨が服の裏地に仕込まれている。
何かあった時のために、ブーンが用意してくれていたのだろうか。

姿見えぬ友に礼を言い、彼はローマを後にした。



2 ホムンクルスは稼ぐようです  終了


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